ECサイトの商品やサービスを販売するとき、悩みの種になりがちなのが販売価格です。顧客の購入を決める大きな要素である分、決め方が分からないという声もよく聞きます。本記事は、そんな販売価格を決める際の基本的な考え方を解説します。
販売価格を決める際に知っておきたい用語
販売価格を決める前に、決定の際に使う用語を知っておきましょう。以下3つの用語についてそれぞれ解説します。
- 原価
- 原価率
- 収益率
原価とは
原価とは商品やサービスを提供するのに必要な費用を指す用語です。原材料費や仕入値だけでなく、商品製造やサービス提供時に必要な光熱費や、在庫などを管理する倉庫の賃貸料なども含みます。販売・倉庫スタッフの人件費も、原価の一部です。
原価率と収益率
原価率は、売上に対する原価の割合を指す指標です。以下の計算式で求められます。
原価率=原価÷売上×100
売上が500万円・原価が200万円なら、原価率は約40%となります。
利益率は、売上に対する利益の割合を指す指標です。計算式は以下のものを使います。
利益率=利益÷売上
利益率が高ければ高いほど、利益を得ている状態です。なお、小売業の場合、異なる利益率の商品を複数扱うため、利益率が高くても経営が成功しているとは限りません。この場合は、利益率の高い商品がよく売れていると判断します。
販売価格の主な決め方
販売価格はさまざまな要素を用いて決定できます。それぞれの方法にメリットとデメリットがあるため、経営しているECサイトにあったものを選ぶのがポイントです。販売価格の主な決め方とそのメリット・デメリットを解説します。
原価から計算する
原価に自社利益額をプラスして決める方法です。最もシンプルな方法であり、昔から活用されていました。決定の際は、以下の計算式に必要な数字を当てはめて算出します。
販売価格=原価÷原価率(1=利益率)
計算方法が簡単でシンプルで、一定の利益額を保てるメリットがあります。手っ取り早く販売価格を決められる一方、競合他社への対抗が難しい方法です。また、利益を求めるあまり価格を高く設定し、長期間在庫が残る事態につながる可能性があります。
競合他社を参考にする
競合他社を参考にする方法は、検索すればすぐに競合他社の情報が手に入るECサイトならではの方法です。複数の通販サイトで商品価格をくまなく調査後、同等または他社よりも高い・低い価格を設定します。
早期に売上を上げ、在庫回転数を高められるのがメリットです。一方、価格競争に巻き込まれやすくなるうえに、適正利益が確保しにくいケースもあります。設定の際は、注意が必要です。
視覚や心理効果を活用する
価格設定は顧客の目を引く方法や、心理効果を活用して決めることもあります。よく使われるのが、以下の効果です。
- 端数切り:端数を切って1,000円・1蔓延単位の大台に乗らないように設定する
- 均一価格:全商品の価格を統一すると商品ごとの価格にシビアになりにくくなる
- 松竹梅方式:商品やサービスの品質やオプション内容を3段階で分けて選ばせる
価格設定には、顧客の目や関心を引く効果もあります。うまく活用しましょう。
販売価格決定時におさえておきたいポイント
販売価格決定の際は、気を付けておくべきポイントがあります。決定方法だけでなく、価格を決めるときのポイントも覚えておきましょう。
顧客目線で金額を決める
販売価格決定の基本は、ECショップが利益を出せるように設定します。しかし、利益を求めるあまり、顧客が購入をためらうような金額を設定しては、購入してもらえません。価格設定の際は、顧客が購入しやすいかもよく考えたうえで決定しましょう。
ECサイトのブランディングも考慮する
価格はECサイトのブランディングにも深く関係する要素です。サイトのコンセプトやターゲット層に合致した価格を設定しましょう。
たとえば、高品質な商品を売りにしている場合、低価格帯商品ばかり扱っていると目指しているブランドイメージと異なる印象を持たれてしまいます。価格決定の際は、自社の強みや魅力も含めて考えるのがポイントです。
決算手数料やシステム利用料も忘れないようにする
ECサイトの決済はクレジットカードやコンビニ決済などを中心に扱います。これらの方法は決済手数料がかかるため、販売価格を決めるときは、手数料を支払ってもきちんと利益を得られる金額を設定しましょう。
まとめ
販売価格は顧客の購入を決めるだけでなく、ECサイトの印象を決定する大きな要素です。価格決定の際は、サイトのコンセプトや顧客層に注目しながら決めましょう。